続いて、``Git'' プロトコルを使ってリポジトリを配信するデーモンをセットアップしてみましょう。 Git リポジトリへの認証なしの高速アクセスが必要な場合、一般的な選択肢になります。 ただし、これは認証なしのサービスで、配信されるデータは原則として公開されてしまうので注意してください。
ファイアウォールの外にサーバーがあるのなら、一般に公開しているプロジェクトにのみ使うようにしましょう。ファイアウォール内で使うのなら、たとえば大量のメンバーやコンピューター (継続的インテグレーションのビルドサーバーなど) に対して SSH の鍵なしで読み取り専用アクセスを許可するという使い方もあるでしょう。
いずれにせよ、Git プロトコルは比較的容易にセットアップすることができます。 デーモン化するためには、このようなコマンドを実行します。
$ git daemon --reuseaddr --base-path=/opt/git/ /opt/git/
--reuseaddr
は、前の接続がタイムアウトするのを待たずにサーバーを再起動させるオプションです。--base-path
オプションを指定すると、フルパスを指定しなくてもプロジェクトをクローンできるようになります。そして最後に指定したパスは、Git デーモンに公開させるリポジトリの場所です。
ファイアウォールを使っているのなら、ポート 9418 に穴を開けなければなりません。
プロセスをデーモンにする方法は、OS によってさまざまです。 Ubuntu の場合は Upstart スクリプトを使います。
/etc/init/local-git-daemon.conf
のようなファイルを用意して、このようなスクリプトを書きます。
start on startup
stop on shutdown
exec /usr/bin/git daemon \
--user=git --group=git \
--reuseaddr \
--detach \
--base-path=/opt/git/ \
/opt/git/
respawn
セキュリティを考慮して、リポジトリに対する読み込み権限しかないユーザーでこのデーモンを実行させるようにしましょう。新しいユーザー 'git-ro' を作り、このユーザーでデーモンを実行させるとよいでしょう。
ここでは、説明を簡単にするために git-shell
と同じユーザー 'git' で実行させることにします。
マシンを再起動すれば Git デーモンが自動的に立ち上がり、終了させても再び起動するようになります。 再起動せずに実行させるには、次のコマンドを実行します。
$ initctl start local-git-daemon
その他のシステムでは、xinetd
や sysvinit
システムのスクリプトなど、コマンドをデーモン化して監視できる仕組みを使います。
次に、どのプロジェクトに対して Git プロトコルでの認証なしアクセスを許可するのかを Git に設定します。許可したいリポジトリに git-daemon-export-ok
ファイルを作成すれば設定できます。
$ cd /path/to/project.git
$ touch git-daemon-export-ok
このファイルが存在するプロジェクトについては、Git は認証なしで公開してもよいものとみなします。