定型文での返信を提供するOutlook向けアドオンです。
例えば、以下のメールを受信したとします。
件名:
例の件について
本文:
お疲れ様です。
例の件について以下の案を考えてみたのですが、いかがでしょうか?
http://...
このとき、以下のいずれかの手順ですぐに定型文で返信することができます。
Subject:
[[いいね!]]: Re: 例の件について
Body:
いいね!
> -----Original Message-----
> お疲れ様です。
> 例の件について以下の案を考えてみたのですが、いかがでしょうか?
> http://...
これらの返信内容の設定はグループポリシーによってドメイン単位での一元管理が可能です。 個別の設定ファイルによるユーザー単位での設定変更も可能です。
policy配下のadmx、admlファイルをグループポリシーファイルを以下のパスに配置します。
- Active Directoryのグループポリシーに追加する場合
C:\Windows\SYSVOL\domain\Policies\PolicyDefinitions
- ローカルグループポリシーに追加する場合
C:\Windows\PolicyDefinitions
グループポリシーエディターを開き、 管理用テンプレート -> TypicalReply -> 既定値 -> TypicalReply設定 を開きます。 この設定を有効にし、テキストエリアに後述のJSONでの設定を記載します。
デフォルト設定ファイルは以下の箇所に存在します。
C:\Program Files\TypicalReply\TypicalReplyConfig.json
このファイルに後述のJSONでの設定を記載します。
ユーザー設定ファイルは以下の箇所に存在します。
%APPDATA%\TypicalReply\TypicalReplyConfig.json
このファイルに後述のJSONでの設定を記載します。
グループポリシーの設定、デフォルト設定ファイル、ユーザー設定ファイルによる設定で、優先度が異なる場合、最も優先度が高い設定が使用されます。 優先度が同じ場合、グループポリシー、デフォルト設定ファイル、ユーザー設定ファイルの順に内容がマージされます。
- GroupLabelは最後の設定のものが使用されます(指定していた場合)。
- ButtonConfigListは各内容がマージされます。
- 重複したIDのButtonConfigは最後の設定のものが使用されます。
- 重複しないIDのButtonConfigは追加されます。
セットアップの存在するフォルダに DefaultConfig\TypicalReplyConfig.json
を配置した状態でセットアップを実行することで、
セットアップ実行時に自動で C:\Program Files\TypicalReply\TypicalReplyConfig.json
にファイルが配置されます。
設定は以下のようなJSON形式で指定します。
{
"Priority" : 1,
"ConfigList": [
{
"Culture": "ja-JP",
"GroupLabel": "定型返信",
"ButtonConfigList": [
{
"Id": "Like",
"Label": "いいね!",
"SubjectPrefix": "[[いいね!]]:",
"Body": "いいね!",
"Recipients": ["all"],
"QuoteType": true,
"AllowedDomains": [
"*"
]
},
{
"Id": "OK",
"Label": "了解",
"SubjectPrefix": "[[了解]]:",
"Body": "了解しました。",
"Recipients": ["all"],
"QuoteType": true,
"AllowedDomains": [
"*"
]
}
]
},
{
"Culture": "en-US",
"GalleryLabel": "Typical Reply",
"ButtonConfigList": [
{
"Id": "Like",
"Label": "Like!",
"SubjectPrefix": "[[Like!]]:",
"Body": "Like!",
"Recipients": ["all"],
"QuoteType": true,
"AllowedDomains": [
"*"
]
},
{
"Id": "OK",
"Label": "OK",
"SubjectPrefix": "[[OK]]:",
"Body": "OK.",
"Recipients": ["all"],
"QuoteType": true,
"AllowedDomains": [
"*"
]
}
]
}
]
}
TypiclReplyConfig: 設定のルート
設定名 | 型 | 必須 | 省略時のデフォルト | 概要 |
---|---|---|---|---|
Priority | 数値 | no | -1 | レジストリと設定ファイルのどちらの設定を使うかの優先度。 値が大きい方が使用される。 値が同じ場合は設定がマージされる。 |
ConfigList | Configのリスト | yes | - | 各言語ごとの設定(Config)のリスト |
Config: 各言語ごとの設定
設定名 | 型 | 必須 | 省略時のデフォルト | 概要 | 例 |
---|---|---|---|---|---|
Culture | 文字列 | no | null | 対象となるカルチャ。 ロケールなしの言語のみを指定することも可能です。 現在のカルチャにマッチするCultureがない場合、Cultureの値に関わらず先頭のConfigを使用します。 |
"ja-JP" 、"ja" |
GroupLabel | 文字列 | no | "Typical Reply" |
リボンやコンテキストメニューに表示される本機能のラベル | "定型返信" |
TabMailInsertAfterMso | 文字列 | no | "GroupMailRespond" |
リボン上でTypical Replyを表示するデフォルトの位置。ビルトインのidMsoを指定する。 | "GroupMailRespond" 、"" |
TabReadInsertAfterMso | 文字列 | no | "GroupRespond" |
メールのリボン上でTypical Replyを表示するデフォルトの位置。ビルトインのidMsoを指定する。 | "GroupRespond" 、"" |
ContextMenuInsertAfterMso | 文字列 | no | "Forward" |
メールのコンテキストメニュー上でTypical Replyを表示するデフォルトの位置。ビルトインのidMsoを指定する。 | "Forward" 、"" |
ButtonConfigList | ButtonConfigのリスト | yes | - | 定型返信ボタン設定のリスト | - |
ButtonConfig: 定型返信ボタン設定。返信内容や返信先等の設定を行う。
設定名 | 型 | 必須 | 省略時のデフォルト | 概要 | 例 |
---|---|---|---|---|---|
Id | 文字列 | yes | - | ボタンのID。ButtonConfigList内で重複不可。 | "LikeId" |
Label | 文字列 | yes | - | ボタンに表示されるラベル | "いいね!" |
SubjectPrefix | 文字列 | no | null | 件名の先頭に挿入する文言 | "[[いいね]]" |
Subject | 文字列 | no | 返信のデフォルト件名 | 件名 | "報告" |
Body | 文字列 | no | null | 本文 | "いいね" |
Recipients | 文字列のリスト | no | 送信先なし | 送信先。["blank"] : 送信先なし["all"] : 全員に返信["sender"] : 送信者にだけ返信その他の文字列リスト: 指定のアドレスに返信 |
["test@test.co.jp", "test2@test.co.jp"] |
QuoteType | boolean | no | false | 元の文言を引用するかどうか。 true : 引用するfalse : 引用しない |
true |
AllowedDomains | 文字列のリスト | no | 全て許可 | 送信を許可するドメインリスト。このドメイン以外が含まれている場合、返信用メールの作成、送信は行わない。["*"] : 全て許可するその他の文字列リスト: 指定したドメインのみ送信を許可する |
["test.co.jp", "test2.co.jp"] |
ForwardType | 文字列 | no | 添付しない | 元のメールを添付するかどうか。attachment : 添付する |
attachment |
Size | 文字列 | no | "normal" | グループに表示するボタンのサイズnormal : 通常ボタンlarge : 大きいボタン |
attachment |
「最高!」というボタンを追加する方法を考えます。
設定ファイル(%APPDATA%\TypicalReply\TypicalReplyConfig.json
)を編集します。
現在の設定が以下のようになっているとします。
{
"ConfigList": [
{
"Culture": "ja-JP",
"GalleryLabel": "定型返信",
"ButtonConfigList": [
{
"Id": "Like",
"Label": "いいね!",
"SubjectPrefix": "[[いいね!]]:",
"Body": "いいね!",
"Recipients": ["all"],
"QuoteType": true,
"AllowedDomains": [
"*"
]
}
]
}
]
}
ButtonConfigListにButtonConfigを追加します。
Id
はAwesome
とし、Label
は最高!
とします。
{
"Id": "Awesome",
"Label": "最高!"
}
元のメッセージに対して返信するので、元の件名は残して、件名に対してリアクションのメッセージを追加します。
そのために、Subject
は空にして元の件名が残るようにし、SubjectPrefix
で件名の先頭にメッセージを追加します。
{
"Id": "Awesome",
"Label": "最高!",
"SubjectPrefix": "[[最高!]]:"
}
同様に、元のメッセージに対して返信するので、元の本文は残して(引用状態にして)、本文にメッセージを追加します。
そのために、Body
にメッセージを指定し、QuoteType
にtrue
を指定します。
{
"Id": "Awesome",
"Label": "最高!",
"SubjectPrefix": "[[最高!]]:",
"Body": "最高!",
"QuoteType": true
}
このボタンでは、送信者にのみ返信することとします。
そのために、Recipients
に["sender"]
を指定します。
{
"Id": "Awesome",
"Label": "最高!",
"SubjectPrefix": "[[最高!]]:",
"Body": "最高!",
"QuoteType": true,
"Recipients": ["sender"]
}
また、送信先のドメインは自身が所属しているtest.co.jp
のみに限定することとします。
そのために、AllowedDomains
に["all"]
を指定します。
{
"Id": "Awesome",
"Label": "最高!",
"SubjectPrefix": "[[最高!]]:",
"Body": "最高!",
"QuoteType": true,
"Recipients": ["sender"],
"AllowedDomains": ["test.co.jp"]
}
元のメッセージの添付は不要とします。
そのため、ForwardType
は指定しません。
以上で作成した設定をButtonConfigListに追加します。
{
"ConfigList": [
{
"Culture": "ja-JP",
"GalleryLabel": "定型返信",
"ButtonConfigList": [
{
"Id": "Like",
"Label": "いいね!",
"SubjectPrefix": "[[いいね!]]:",
"Body": "いいね!",
"Recipients": ["all"],
"QuoteType": true,
"AllowedDomains": [
"*"
]
},
{
"Id": "Awesome",
"Label": "最高!",
"SubjectPrefix": "[[最高!]]:",
"Body": "最高!",
"QuoteType": true,
"Recipients": ["sender"],
"AllowedDomains": ["test.co.jp"]
}
]
}
]
}
これで、定型返信のボタンの中に、「最高!」ボタンが追加されます。