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きつねは明るい森に住んでいる。 あったかいし空が広いけれど、日差しが厳しくもある。

たぬきは暗い森にすんでいる。 土や葉、花の匂いはよく感じられるけれど、雨の日は川が出来るし、次の日もぬかるんでいて大変。 空は、穴の開いたところからしか見ることはできない。

大昔、大昔、どちらがはじめたかも分からない戦いの、誰もが忘れた戦いの結果できた、きつねの里とたぬきの里。

きつねとたぬきは険悪?だけれど、偶然尻尾を見せてなかよくなる。

ところが、一緒に遊んでいるところがバレてしまう。

逃げた先に、人間が倒れていた。体温は低くて顔は紫色。きつねとたぬきは叫ぶ。そんなことより、この子を救いたい。みんなも助けてくれないか。

もともと誰も覚えていない戦いの話、形骸化した話。目の前の緊急事態に取り掛かる。

きつねは人間をあたためる。たぬきはなんとか呼びかける。この世界へ、戻ってくるように。

人間は生き返る。自殺するために森に入ったのだ、と。神社の娘に生まれたはいい、見えない力を感じるし、森に生きる生き物はみんな幸せになってほしい。そう思うが、親にはそんな心はない。お金、お金、お金。森の生き物も粗末に扱う。芸術家になりたい気持ちもある。でも、親には反対されるし、芸術家になっても…。

「そんなことで自殺したいの?」「そんなこと!?わたしには、大事なのです」「いいや、そんなことだね。あたしは、あなたに、そんなことで、死んでほしくない。そんなつまらない世界、やめちゃおうよ。で、あたしたちと友達になろう。そしてさ、一緒に暮らして、楽しいこと、やりたいことをしようよ。森は楽しいよ!」「わ、わたしも、あなたの事がもっと知りたいです…」。

なんとか説得して人間はきつねたちやたぬきたちと暮らす。人間の風習を知ることは化ける際にとても参考になる。最近の人間は違うらしい。

人間は、「死んでほしくない」と言ってくれた二人のことが大事になる。誰かを大事に思う、ということを学ぶ。親からは大事にされたことがないから。

きのこの取り方、木の実の集め方、隠し方、トイレの仕方、いろいろな事を学ぶ。たまには一緒になって寝る。3人?で寝ることも、珍しくなくなっていた。化けた状態で寝ることも、きつねやたぬきの状態で寝ることも。もふもふしててきもちい。

人間はきつねの里とたぬきの里をいったりきたりする。すると、2つの里もだんだん境界線がどうでもよくなってくる。でも、まだ言い出せない。領域を侵犯するたぬきやきつねへの風当りは厳しい。

人間は恩返しがしたい。そこで決断する。「巫女になろう。」それは家を継ぐ、ということで、彼女が避けたかったことのはず。ではどうしてか?「この森を、守るため」。彼女は逃げないことにした。でも、戦いもしない。その代わり、「わたしも、きつねとたぬきの力を借りれば『化け』られるようになりそうなんです」。

たしかに神社にはお金が必要。なので、彼女は工夫を凝らした。きつねやたぬきとも相談をする。

3人は案を作った。人用に鳥居をたくさんたてて、登山道を作る。人間はこういうのが好きだ。きつねやたぬきからは、森を知り尽くしていることから、どこがよさそうか教えてもらう。人間は、上がり続けて、下がり続けるのが好き。鳥居も好き。ゲートが好き。鳥居があれば、万が一人間に見つかるリスクも減らせる。

その外は「神域」とすることで、森を守ろうとする。それでは信仰を持たない人には効かないのではないか?そこで、山が神社の「所有物」であることを説明する「人間はみな、地球をすべて自分のものだとしているのです。わたしは、誰のものでもないと思っていますけれど。でも、このことを使えば、ここから先へ人が立ち入ることは『違法』ということになります。そうすれば入りません。人は、森を『資源』だと見ています。いつか、分かり合える日が来るとわたしは信じたいですが、これが今は最善だと思うのです」。きつねとたぬきの里長は、彼女がしていることを、自分たちがしていないことを恥じる。たしかに今までどおり、寝床や餌を見つける場所は違うけれど、お互いの領地に踏み入ってもよいこととする。「やったね、これであたしたち3人でもっと遊べる!」「そうね」

ところがそこに迷惑系YouTuberが…?